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佐太郎、創作再開


by tsado19h

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               第9話 不良少女エリカ
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               ・・・・・・・・★1・・・・・・・
あたし、頭の中が真っ白のまま、産婦人科医からもどってきたの。立ちくらみで何度も路上に倒れ込みそうになったわ。

ママ、テレビで台風の進路のニュースを真剣に見ていたみたい。
「ママ、どうしたらいい? あたし、できちゃったみたい」
「何がだい? にきびかい?、水虫かい?」
「あたし、顔色、すっごく青くない? そんなもので、こんな深刻な顔しないわよ」
「できたのは、子供。子供よ! 赤ちゃんよ!」
ことの重大さを認識して、ママ、テレビのスィッチを切る。
「そりゃ、大変だ。相手は翔太かい?」
「なら、うれしいんだけど。違うのよ。翔太お兄さん、大好きだけど・・・、大好きだけど・・・。まだセックスしたことないもの」
「じゃあ、お客さん?」
「あたしはプロよ。そんなヘマしないわよ」
「じゃあ、相手は誰?」
「エンリコだと思う。本当に短い期間だった。けど、二人は真剣に愛し合っていたんだ」
「あれえぇ! 助けてぇ!」

実は、こうなる可能性が頭の片隅からずっと離れなかったの。
だから、医者に子供ができたと告げられときも、驚きはしなかったわ。やっぱりできちゃったか。運が悪いよな。神様は見逃してくださらなかったのねって思ったわ。

「堕ろすのかい?」
「今のところ、気持ちが動転していて何も考えられないの」


翔太のイタリアでつきあっていた女性ジョアンナが、弟のエンリコを連れて、10日間、マニラに遊びにきたの。シンガポール赴任になった父親のところに行く途中、寄ったんだって。
セクシーで、エレガントで、知的で、どこをとっても今のあたしでは太刀打ちできないと思えたわ。パニックだった。嫉妬で目が血走っていたと思う。いつかは自分を磨いてジョアンナを超える女性になるんだと心の中で堅く誓ったんだもの。


ジョアンナと弟は客用の部屋をあてがわれていたわ。なのに、ジョアンナったら、ずっと翔太の部屋に入り浸ったまま。あたし、胸が苦しくて苦しくて、ベッドの上でのたうちまわっていたわ。
深夜、気持ちを鎮めに、水を飲みにキッチンに下りていくと、エンリコも眠れないみたいで、ぼんやり食卓に腰掛けていたの。
「どうした? 眠れないの?」
泣きそうな顔でうなづく。大切な姉さん、翔太に取られてしまったんだものな。わかる。わかる。可愛そう。
グラス二つにブランディーを注ぎ、弟にもすすめながら、
「あたし、クリス。君。名前は?」
「エンリコ」
「君、何歳?」
「13歳」
「なんだ。あたしより一つ下なんだ」
優しく頭を撫ぜ、背中をさすってあげていると、ブランディをむせびながらがぶ飲みし、おいおい泣き出してしまったの。あたし、ほおっておけなかったわ。あたしの部屋に連れていったの。あたしも一人でいたくなかったんだもの。
ベッドに座って手を握り合い、長い間、お互いの顔をじいっと見詰め合っていたわ。
「泣かなくたっていいじゃない。女って、時々男に夢中になるものなのよ」
「君、可愛らしい顔してるのね」
両手でエンリコの顔をはさんで、その整った顔を見ているうちに、キスをしたい衝動が襲ってきたの。
「あの人達二人のことは頭から追い払って。私達もキスしちゃおうか」
エンリコがうなずく。同じ気持ちだったみたい。でも、こういうことに始めてみたいで震えていたのよ。きつく閉じていた唇に舌を差し込んで優しく開いてあげたわ。
後は本能が導くままよ。もうベッドの上を転げまわって固く抱き合って、舌と舌をからめあわせた熱い熱いキス。時間を忘れて、し続けたわ。翔太のこと、どこかに飛んじゃっていたわ。いつのまにか二人は裸になっていたの。当然よね。二人とも身体中の至る所にキスをしまくっていたわ。エンリコ、女性のあそこに触れるのも始めてみたいで、長い時間をかけて、触ったり、匂いをかいだり、舐めたり、舌を入れたりしながら、観察していたわ。あたし、自由にさせてあげていたの。窓の外が白み始めた頃、勃起したエンリコのものをシュパシュパ、ジュルジュル、音を立ててお口の中で出し入れし、さっぱりとしてあげたわ。そのとき、エンリコ、大きな叫び声をあげたの。ママの部屋と離れていて助かった。
気がついたら、朝になっていたのよ。エンリコを自分の部屋に帰し、シャワーを浴びて、少し眠ってから、普段通り、学校に出かけたわよ。あたし、結構な頑張り屋さんなんだから。でも、授業中、居眠りばかりしていたみたいよ。


10日の間、夜11時になると、エンリコ、期待に胸を膨らませて、あたしの部屋にやってきたわ。あたし、少しうんざりしたところもあったけど、つきあってあげたわ。翔太の部屋で戯れている二人のことを思うと、一人にはなりたくなかったの。
エンリコ、あたしのあそこに入れたがったの。もう、エンリコのこと、好きになっていたから、断われなかったのよ。でも、精液を出すのは、きっちりとお口の中にしていたわ。
でも、最後の日、安全日だったし、お別れかと思うと、ついついガードが甘くなっていたみたい。堅く抱きついて離れようとしないエンリコの精液を私の中に受け入れちゃったの。あたしも、無意識にそれを望んでいたところがあったのかもしれないわ。その気持ちの隙をつかれたのよね。
神様の意地悪。





                 ・・・・・・・・★2・・・・・・・
途中に挟まった晴天の日曜日、エンリコとイントラムロスをデートをしたのよ。そのときは、好きあった者同士。サンティアゴ要塞、マニラ大聖堂、どこに行っても楽しかったわ。いつも見詰め合って、人のいないところではキスをして、必ず身体のどこかを触り合っていたわ。平等な歓びを共有していたと言っていいのかしら。今までおじさんばかりが相手だったから、こんな経験、始めてだったの。新鮮だったあ。エンリコのこと、本当に好きになっていたみたい。

でも、人生って不思議よね。あたし達がこんなに燃え上がっていたのに、あんなに仲が良くてラブラブモードだった翔太とジョアンナの間が冷え出して、傍から見ていても翳りを見せ始めているのがわかったの。翔太に対するジョアンナの愛なんてそんな程度のものだったのよね。ジョアンナになんかに負けっこないと確信したわ。

毎週、手紙を出すなんて、息巻いてたエンリコから、一度イントラムロスで撮った二人の写真を送ってきただけ。後は一切連絡がなかったわ。男なんて、口先三寸の生き物なんだって再認識したわよ。でも、つらくなんてなかったわ。そこまでエンリコのことが好きでもなかったし、手紙なんかもほとんど期待などしていなかったもの。
私が心から好きなのは翔太兄さんだけよ。

堕ろすか産むかで悩んだわよ。私、まだ15歳だもの。
「エンリコは短い期間だったけど、私が本気で愛した男の子。私は産むわ。お腹の中に宿った命を殺すなんてことは絶対にできない。愛を傾けて大きくなるまで大切に育てるわ」

翔太、ママから私の妊娠のことを聞いて、がっくりと気を落としたみたい。それも、エンリコの子だと知って責任を感じたらしいの。私が翔太のことが大好きなのを知っているのに、ジョアンナを部屋に引き込んでイチャイチャしては、ギッコンギッコンはめこんでいたんだものな。

翔太、私が産む決意が固いと知って、父親になる覚悟を決めて、宣言したの。
「俺に責任がある。生まれてくる子の父親には俺がなる」
「翔太を巻き込みたくないわ。エンリコと情を通じて、ハメッコしたのは、私なんだから。私、シングルマザーになってコンドでアイアンと共に子を育てるわ」
「クリス、ダメだ! 君のことを愛しているんだ。君と離れて暮らすくらいなら、俺、死んだ方がましだよ」
「ゴメン、翔太。私もあなたを愛してる。ずっと一緒に暮らしたい」
「俺、クリスと一緒に子を育てる。クリスをずっと支え続ける」
私、涙が出て、止まらなかったわ。人を愛し、人に愛されるってことはこういうことなのね。翔太と私の間には、深い愛がいつの間にか芽生えていたのよね。

二人の決意を知って、ママが決断したわ。
「二人は結婚しなければいけないわ。そして、親子3人、同じ部屋で生活しなければいけないわね。もちろん、セックスも解禁よ。私も陰から応援するわ」


エンリコに怒りを感じた翔太、シンガポールのジョアンナに電話したんだって。
「お前のいい加減な弟は元気にしてるか?」
「翔太、ひどいわ。ひどいわ。そんな言い方、ないんじゃない?」
すると、ジョアンナ、いきなり電話口で泣き出してしまったそうよ。
1週間前、高速道路をバイクで走っているとき、横を走るトラックに接触し、無免許運転のバイク事故を引き起こし、病院に担ぎこまれたんだって。不仲の新しい母にきつい説教をくらって、イライラしての出来事だったらしいの。
息を引き取る前、ジョアンナに息も絶え絶えに言ったそうよ。
「姉さん、クリスに伝えて。愛してるって」
それを聞いて、私、ジーンときてしまったわ。何故、手紙が来なかったかも、あいつが私のことを本気で愛していたのも、わかったんだもの。
あいつ、軽率で、馬鹿なところ、あったもんな。でも、そういうところも、好きだった。

でも、不思議なの。エンリコのことを思いやって涙を流しながら、思い出すのは、エンリコの健康的な明るい笑顔ではなく、チンポコを抜いてやっているときの、エンリコの嬉々とした顔、イクときの切なげなウハウハ顔なのよ。
私の感性って、少しおかしいのかな。

# by tsado19h | 2014-01-01 06:47 | 不良少女エリカ
             ・・・・・・・・★3・・・・・・・・
阿佐ヶ谷のジイジの家。
日曜の夜8時過ぎ。テレビのお笑い番組に見入っている。
笑いをかみ殺しニヤニヤしている奈津。口を開けて声を上げて馬鹿笑いしているステフ。
傍らのベビーベッドで雅美が眠り込んでいる。

突如、玄関のチャイムが鳴る。
「嫌ねえ。こんな時間に、誰かしら?」
「ごめんなさい。私、お気に入りのエロセクシーなベビードールよ。胸元が大きく開いていて、乳房の谷間がばっちり見えるし、背中は丸出しよ。セクシー過ぎて、来客の前にはちょっと出ていけないわ。姉さん、応対、おまかせ」
「私しかいないのに、お前、そんなエロっぽいナイトウェアを着て、どういう了見なんだ」
「毎夜毎夜、雅美の世話に忙しいけど、女を忘れたくないの。これを着ていると、女でいられるの。癒されるのよ。心がリラックスしてぐっすり眠れるの。私しかいないのに、男を意識しているの、姉さんの方じゃない。透け透けのナイトガウンから見えてる黒のブラと黒のショーツ、すっごく嫌らしいわ」
「私、シースルーだけど、一応、ガウンを羽織ってるわよ。色気違いのステフのように半裸じゃないぜ。ま、いっか。ちょっと見てくる」
奈津、小首をかしげながら、立ち上がる。

「もしも~し、どなたでしょうか?」
「夜分遅く失礼します。テツロウです」
「えっ、テツロウって? どなた?」
「藤沢のテツロウです」
「藤沢って、ここの旦那のお姉さまのところ?」
「はい、僕、息子の哲郎です」
「ちょっと、お待ちになって。今、開けますからね」

チェーンロックを外し、ドアを開けると、メガネをかけた背の高い男がつっ立っている。少年から抜け出したばかりという感じ。まだウブで真面目そうな青年。顔立ちは整っている。なるほど、どことなくジイジに似ていて、笑えてくる。

「いらっしゃい。どうぞ、どうぞ、どうぞ。お上がりになって」
「はいっ、失礼します」

うんざりの雰囲気の漂っていた女の園への若い男の闖入。テレビを消したステフの眼が輝き出す。奈津にも浮かれた気分が湧いてくる。

「姉さん、誰? そいつ。若くてなかなかいい男ね。ひょっとして、昼間、街でひっかけた男?」
「そうよ、今日の軟派の収穫。お前、舌なめずりするなよ」
「ばっちり、私のタイプだな。姉さんの使用後でいいから、私にも廻して。私、もう2ヶ月近く、あっちの方、ご無沙汰しているんだ。股の間、ウズウズしちゃって、たまらないのよ」
「ダ~メ。私が朝まで独り占めで、やり続けるの」
「ケチ! 人でなし!」
「でもね、やる気は十分なんだけどさ。それができないのよ。残念だわ。だって、この子、ジイジの甥っ子さんなんだそうよ」
「ちっ、おいしそうな素材なのにな。もったいない」

下品できわどい内容を、乱雑な言葉で、声を潜めるでもなく話している。藤沢の実家とは大違い。
通されたリビングルームは何度か来ている部屋に違いない。が、おじさんがいない。大柄で艶っぽい、乳房の大きな女性二人。それに、ベビーベッドに赤ちゃん。
部屋の中に、女の熟れた匂いがプンプンと立ちこめている。
哲郎、クラクラする。 戸惑って、あてられて、あきらかに緊張。

臭い、臭い。女臭い。汗と分泌物のすえた匂い。股間が熱くなっている。
「す、すいません。ここ、ここ、内野さんのお宅ですよね」
「そうよ。間違いなく内野忠雄の家よ」
「おじさんは、どちら?」
「おじさんはね。今、フィリピンに行っているの。しばらく帰ってこないわよ」
「あれぇ、どうしよう。困ったな。あっ、僕、僕、おじさんの甥の猪口哲郎です。よろしくお願い致します」

一息ついて、玄関に出てきてくれた中年女性の方に目を向ける。大きな乳房。人懐こい笑顔。風呂上りでリラックスして、色気ムンムン。やりたいオーラもムンムン。シースルーのガウンを通して見える、黒のブラジャー、黒のショーツをつけた豊満な裸体。一挙一動がセクシーで、息を飲む。襟首、半袖から出ている乳房、腕の白い肌が、大人の色気を滲み出している。年齢の違いを忘れて惹かれる。母とは大違い。陽気な性格が伝わってきて、男を甘えさせる、リラックスさせる、甘い蜜のようなものを振りまいている。

何故か、祖父母の田舎の庭の木になっていた、真っ赤に熟れた、透き通った柿を思い出した。ジジに取ってもらって食べた、ジュルジュルの熟し柿。人工の甘味に慣れた子供の舌にも衝撃的だった。あの自然の甘みとネットリ感をまだ覚えている。
ガウンを脱げば、裸の身体にブラジャーとショーツをつけているだけ。
この女性の甘みとネットリ感を味わってみたい。 頭でそう思ったのではない。股間がそう囁いてきたんだ。

「はいはい、こちらこそ、よろしくね。お母さんには何度かお会いしているけれど、あなたとは始めてよね。私、この家で、食事、洗濯、掃除など、おじさんのお世話をしている遠藤奈津よ。今は、ここの留守を守っています。そして、こちらのセクシーな女性はステフよ。ステフ、自分のことは自分で紹介しな」

「今晩は、テツロー。私、雅也の奥さんのステファニーよ。ステフと呼んでね。そして、この子は二人のベービーの雅美よ」
まだ若い外国人。目鼻立ちがはっきりした素敵な美人。ダブルストラップの赤いシースルーのベビードールをつけている。大きく開いた胸元から、奈津さんの巨乳を一回り大きくした爆乳が嫌でも眼に飛び込んでくる。フロントの可愛いいリボンを解けば、乳房もお腹も全開。授乳の勝手は良さそうだ。でも、その下に、扇情的な真っ赤なТバックショーツをつけた、超ナイスなボディ続いている。あっけらかんとした、ふしだらな雰囲気に、俺の股間がまたしても囁いてくる。
知らず知らずに下半身がうずき出して、あわてる。
アダルトDVDで熱烈なファンになってしまったAV女優に瓜二つ。ハスキーで舌っ足らずの口調までそっくり。何度、画面上の彼女と逢瀬を重ねながら、ペニスをしごいたことか。そんな憧れの女優に声をかけられて、舞い上がる。

夢か? 現実か? 
夢なら、まもなく、俺は布団の中で、パンツを白い液体で汚し、多少の引け目を感じつつ、にやついている筈。
夢から覚めるな! 
俺は、祈るような気持ちで、視線を、乳房の谷間が見える胸元から、ステフさんの顔に移し、潤んだ瞳と、だらしなく緩んだ口元を、食い入るように見続けた。

「どうしたの? テツ君。私の顔に何か、ついてる?」
「いえ、いえ、こうして、素敵なステフさんに会っているの、夢なんじゃないかと思って」
「何、寝言、言ってるのよ。現実に決まってるでしょ。信じられないのなら、その手で、私のこの自慢の乳房、弄んでみる?」

恐る恐る、乳房の割れ目に手をやると、柔らかくて弾力があって、鼻血が出そうな触感。チンポコがボワッと熱くなる。こちらが現実と納得。

「よかった。今が現実なんだ」
「テツ君って、変な子ね」
「ぼ、ぼく、女の人に慣れていないんです。あなたのような美しい女性の風呂上りのランジェリー姿を眼の前にして、胸がドッキンドッキンなんです。とても平常心でいられません」
「いいのよ。私も、君のような、若いハンサム君に会えてうれしいわ」
「雅也さんの奥さんなんですね。知らなかった。こんな素敵な方と結婚していたなんて。ごめんなさい。ぼ、ぼく、受験勉強に忙しくて、おばさんと雅也さんのお葬式に出られなかったんです」
「大丈夫よ。私も出られなかったの。恋人だったのに。お腹に赤ちゃんがいたのに。喧嘩していて、亡くなったことさえ知らなかったの。私って、ひどい女でしょ。それなのに、それなのに、雅美をかかえて困っている私におじさんは救いの手を差し伸べてくれたのよ」
ステフ、涙声になっている。
「ご、ごめんなさい、ステフさん。僕、いけないことを言ってしまったんだな」
「テツ君、そんなことないのよ。私の問題だから。わたし、本当に本当にひどい女なの」

「僕、おじさんにお願いがあってきたんです。でも、無理だな」
「あらま、何かしら。おじさん、しばらく帰ってこないわよ。でも、お願いって、どんなこと? 国際電話でおじさんに聞いてみてよ」
「僕を、僕を、ここに置いてほしいんです。今年、予備校に通うことになっているんですけど、家にいると、母の干渉がうるさくて気が安まらないんです。母の監視にさらされていると、牢獄に入れられているような気分になるんです。ここの2階ででも生活させてください。でも、でも、こんな素敵な女性が二人もいる家だものな。僕が住むなんて、無理ですよね」
「あらあら。そんなことないわよ。女だけじゃ、無用心だもの。不安だったの。用心棒が欲しかったところ。君なら、大歓迎よ。なあ、ステフ」
「そうね、わたしも大賛成。テツロー、雅也に似ているから、気分が安らぐわよ」
「本当っすか。うれしいなあ」

「でも、私の一存では決められないことね。一応、電話でおじさんに許可をもらいます。まかせときなって。私の言う通りにしてくれるわ。おじさんの弱点、知り抜いているもの。とにかく今夜はもう遅いわ。お泊りになって」
「お願いします。僕、気が弱くて、母に反抗できなかったんです。もう家にいたくないんです。それで、母と始めて大喧嘩して、家を飛び出してきたんです。家には絶対に戻りません。あんな息の詰まる家、生きた心地がしません。好きな本も自由に読めないんです。ここにおいてくれないなら、新聞屋さんかどこか、仕事を捜して働きます」
「あら、あら、大変。テツ君、家出少年なのね」
「僕、もう少年じゃ、ありません。もう18才です」
「あら、まあ、御免なさい」
「じゃあよ、テツロー、お前、チンポコ、ちゃんと立つのか?」
「もちろんです。ステフさん。ビ~ンビ~ンです。性欲を制御できなくて持て余しているんです。最近、朝、しょっちゅう、パンツを濡らしちゃって、困っているんです」
「なんだ、お前、まだオネショしているんか。やっぱ、子供じゃないか」
「馬鹿だな、ステフ。オシッコじゃなくて、精液で濡らしているんだよ。夢精といってな。夜中、エッチな夢を見ながら、発射してしまうんだ。気持ちいいんだってよ」
「ウワッ、もったいない。わたし、その精液、受け入れてやってもいいんだけどな」
「ステフ! テツローは、雅美のパパの従兄弟だぞ。本当にできるんか?」
「そうだよな。雅也に申し訳ないよな。じゃあ、姉さんが、テツローのチンポコ、時々、抜いてやれよ。昔、その道のプロだったんだろ」
「そうしてやりたいな。よっしゃ、このことも、一緒におじさんに許可をもらっちゃおうか」
哲郎、あわてて、口を挟む。
「奈、奈津さん、その抜く話だけは止めてください」
「恥ずかしがるなよ。奈津、ずっとおじさんの身の回りの世話をしているとさっき言ったろ。つまり、おじさんのナニの方面も面倒もみていたんだから。それも、丁寧に、情熱的にな。だから、おじさん、私の頼みは大抵聞いてくれるんだ。わかるだろ」
「・・・・・」

「僕、翻訳家か作家になりたいんです。だから、文学部か外国語学部に入りたかったんです。でも、高校の成績が優秀だという理由だけで、母に無理やり医学部を受験させられたんです。合格したい気持ちがほとんどなかったからか、今年、見事に受験に失敗しました。母に対する僕なりの消極的抵抗だったような気もします。だから、受験に次から次と落ちても、少しも悔しくなかったんです。僕って、そんなだらしない、あさはかな仕方でしか、抵抗のできない意気地なしの臆病者なんです。友達にマザテツと呼ばれていました。マザコンのテツロウの略です」
「マザテツ、ここで、男を取り戻そうよ。ちゃんと事態を認識しているようだから、大丈夫よ。奈津が協力する」
「はい、ここで男を取り戻します」

「母は、相変わらずです。予備校も医学部コースに行くように強制してきました。子供が医者になることがそんなにステータスが上がり、世間体がいいことなのかなあ。僕には母のコンプレックスの裏返しのような気がします。今年は、どんなことがあっても、母の言う通りに動くまいと決心しました。母は横暴です。息子は自分の思う通りに動く愛玩動物程度に考えているんですよ。僕の希望なんて、全く無視されてしまいます。だから、ここに逃げてきたんです。ここを根城にして、母を殺します。主体的意思を持った自由な人間に変身します。好きな勉強をします。好きな本をたくさん読みます」

「そうだよね。自分の好きな道に進みたいよな。あっし、応援するぜ」
「奈津さんにそう言われると、勇気百倍です。僕がマザコンでないことを、ここで証明してやります」
「テツロー、それでこそ男よ。まだ見てないけど、立派なチンポコついているんだろう。今度は、そのチンポコを十分に働かせろよ。ステフも応援するぜ。女とセックスをやればやるほど、母親はか弱い馬鹿女にしか見えなくなってくるもんだそうだぜ。昔、男友達がそう言ってた」
「そうですよね、ステフさん。俺、チンポコ、ガンガン鍛えて、女を切って切って切りまくります」
「そうそう、その意気。でもよ、母親を殺すだの、女を切りまくるだの、それって、犯罪だろ?」
「ステフさん、両方とも、比喩で言ってるんですけど・・・」
「ハハハ、テツ君、面白いだろ。ステフは、時々、わけのわからんことを言う。こいつ、頭が正常なのか、おかしいのか、わからないときがある。慣れるんだな」
「姉さん、わたしのこと、誉めるなよ。照れくさいだろ」
「アホ、誉めてなんかいないわ」

ベビードールのフロントの紐を解き、恥ずかしげもなく乳房を露わに出し、雅美に乳を含ませているステフ。そのオッパイを眩しそうに眺めている俺。奈津さんが微笑みながら、傍に寄ってくる。
「テツ君、熱心ね。鼻の下がダラ~リだじょ。締りないのう。スケベ面になってる」
「せっかくの絶景は鑑賞しなくちゃ、もったいないと思います。奈津さん」
「テツロー、よく言った。お前、美しい物のわかる奴だ。雅美と反対側の乳首、含ませてやってもいいぞ」
「ステフさん、そうしたいです。でも、従兄弟の奥さんに、初対面の日からいくらなんでも、できません。僕、意外と堅いんです」
「そ~お、わたし、堅いのは大好物よ」

「お前達、戯言はそこまで。テツ君、今な、おじさんと連絡が取れた。おじさんから、お許しが出たぞ。テツ君をここに置いて衣食の世話をやいてくれっだってさ。これからは、奈津をお母さんだと思って、甘えていいぞ。お乳を触ってもいいぞ。ステフほどではないけれども、あっしのオッパイもなかなかのものだぞ。今度、試させてやろか。独り占めできるぞ」
「お願いします。オッパイ、オッパイ、オッパイが飲める。ヒュー、楽しいなあ! うれしいなあ! ヒャッホー」
「テツ君、お前、単純な奴だなあ。でもよ、藤沢のお母さんにすぐ電話して所在だけは、はっきり伝えておくようにだってさ。おじさん、お母さんの性格はよく知っているのよ。昔、悩まされていたみたいだからな。ここは頑張って踏ん張れって、エールを送ってきたぞ。おじさんも、お母さんに電話入れて今回はテツ君の好きにさせるように説得しておくってさ。良かったな」
「テツロー、良かったな。晴れて我が家の住人か。私の弟にしてやる。祝杯だ。お前、乳は呑めなくても、酒は飲めるんだろ」
「多分、大丈夫です。でも、まだ本格的に飲んだことはないんです。最高にうれしいです。こんな美女二人とお酒を飲むことができるなんて、今朝、起きたときは、夢にも思いませんでした。人生って、予期せぬ展開に感動して泣きたくなることがあるんですね。僕、涙眼になってるでしょ。よっしゃ、今夜は飲んで、飲んで、飲んで、飲みまくるぞ!」
「テツ君、気合が入っているな」
「心が、お気に入りのエロDVDを視るときのようにおっ立っています」
「おっ立つのは、心じゃなく、チンポコでしょ。テツ君」
「もう頭が混乱してます。とにかく、今夜は自己変革の第一歩なんです」
「お酒、慣れていないんだよね。じゃあ、今夜はワインでいこう。奈津も飲むぞ! 可愛い息子ができたんだ」
「あたしも飲むぞ! 姉さん、若い男がいると、気分が乗るなあ。姉さんと二人のときはつまらなかったもの」
「悪かったな、ステフ。そりゃあ、お互い様よ。お前と二人で飲んでいたときは華やぎというものが全くなかった」
「テツロー、今夜から、お前、我が家のホストだ。しっかりお姉さま達の世話をしろよ」
「・・・・・」

哲郎、奈津やステフに負けじと凄いペースで飲み始める。
「うわ~、うめえ。何杯でもいけるぞ。酒って、いいな!」
飲むにつれて、口が滑らかに回り始める。身体がほてってきたのか、いつのまにか、トランクス一枚の裸になっている。

「テツロー、お前、脱ぎ魔だったんか。一見、真面目な奴ほど、酒を飲むと豹変するんだよな。こうなったら、最後の一枚も脱いじゃえよ。脱ぎたいんだろ」
「ステフさん、そうしたかったんですけど、なかなか最後の一線がこえられなかったんです。じゃあ、お言葉に甘えて、チンチン、見せちゃいま~す。フゥ~、興奮するっ!」

「お姉さま方、僕の悩みを聞いてください。実は、実は、実は、僕、異常に性欲が強いんです。変態人間なのかもしれないんです」
「そうは見えないけどな」
「クラスの女の子達の体育着から出ている太腿を見ているだけで欲情しちゃうんです。チンチンが硬くなって、熱を持ってくるんです。友達から隠すの大変だったんです」
「若い男の子ならおかしくないわよ。ただ普通の男の子よりも女性フェロモン感知精度が良すぎるかもしれないな。それくらい、心配するなよ」
「僕、同じクラスの永瀬さんという女性に憧れていたんです。その裸を想像してマスターベーションしてしまうんです。永瀬さんが知ったら軽蔑しますよね」
「馬鹿だなあ。若い子にとってはごく普通のことよ。永瀬さん、かえって喜ぶんじゃないの。自分のセックスアピール、認められたんだもの。正常な女の子なら、いい男に犯されたいという欲望を多かれ少なかれ持っているものよ」
「僕、実は、無修正のアダルトDVDの並々ならぬ愛好家なんです。新しいのが出ると手に入れるまで落ち着きません。お小遣いは、ほとんどそれに消えてしまいます。足りないときは、親に参考書を買うとかなんとか嘘をついて、お金を貰います。手に入ると、実家の部屋に鍵をかけて籠もります。ヘッドホーンつけて、徹夜で何度も何度も見ちゃうんです。朝になって、欠伸をしながら学校に行っても、DVDの光景が目の奥にチラついていて、離れないんです。授業中、居眠りして、DVDの女優を永瀬さんに、男優を僕に置き換えて、ストーリー通りの行為を営んでいる夢を見てしまうんです。そんな時は、涎を垂らしてニヤついて寝込んでいるそうで、友達に気味悪がられ、笑われちゃうんです。勉強の合間、合間に、毎日のように見るので、お気に入りのDVDは、細部まで覚えちゃっています。ですから、僕の趣味はアダルトDVD鑑賞。他の人に言えなかったんです。でも、お二人にはすらすら言える。不思議だなあ」

「テツ君、作家志望としてはなかなか良い趣味じゃないのかなあ。有望よ」
「テツロー、そのDVD、どうしたんだ?」
「もちろん、お気に入りは、リュックの中に入れて持ってきています」
「そうか、ステフも見たいよ。貸してくれな。奈津さん、一緒に見るか?」
「マニアックな際物ですよ。いいのかなあ」
「かまへん、かまへん。刺激が強いのを見たいのよ」
「これも白状しておきます。僕、満員電車の中で、女の人のむっちりしたお尻やオッパイを見ていると、あそこの辺りが熱くなって、触りたくなってしまうんです。その衝動と戦うのが日課のようになっています」

「あら、ステフなんか、電車の中でセクシーな男を見ると、触ってもらいたくなっちゃうんだから。テツロー、かまへん、かまへん、そんな電波を出してる女の子、見つけたら、自信持って、触っちゃえ、触っちゃえ」
「やりたくてやりたくてたまらなくなって、毎日のようにマスをかくんですけど、少しも満たされないんです。悩んでいます。僕って、やっぱり異常性格の変態人間なんですか? 男性経験豊かなお二方、どう思います?」
「常人より、性欲がちょっと強いかもね。でも、その強い性欲は女の人と二人きりになったとき、武器になるんじゃないかなあ」
「ステフと似ているなあ。私も、マニラの姉さん達に『ステフは性欲が強すぎる。我慢することを覚えなさい』といつも言われていたんだ。テツロー、仲間だな。ハハハ」
「僕、女性と平常な気持ちでうまく話ができないんです。女性の扱い方が全くわからないんです。どうしたらいいんですか? 教えてください」
「そうだなあ、徐々に慣れていくようにするしかないわ。でも、私達二人とつきあっていると、すぐに免疫ができてしまうよ」
「それに、それに、恥ずかしいんですが、僕、まだ童貞なんです。マスは毎日のようにやっていたのに、まだ本物の女の人とやったことがないんです。アダルトDVDで、セックスの知識だけは豊富に仕入れてあります。一般とはかなりずれているんでしょうが」

始めて心の中の秘密を吐きだすことができて興奮しているのか、俺、変わらぬペースで飲み続けた。
「テツ君、早すぎる。セーブして。ぶっ倒れても知らんぞ」
「大丈夫、大丈夫」

1時間もしないうちにグタグタ、ヘロヘロ。言ってることもしどろもどろ。
「やりたい! やりたい! やりたい! オマンコ、やりたい! このままだと、気が狂ってしまう! 精神病院が待ってるよ! 助けて!」
「やりたくてやりたくて鼻血が出てくるよ。俺はあ、性欲の奴隷になってしまった。オマンコ持っていりゃ、誰でもいいんだ。一発、やらせろ!」
「へん、お袋がなんだい。ありゃ、鬼だ。あいつ、お気に入りの若い板前とやりたくてたまんないのに、けち臭い道徳心が邪魔をして思い通りにできないもんだから、ストレスが溜まってるんだ。俺を苛めて、そのストレスを発散しているんだ。息子を自分のオモチャだと思っているんだ」
「あたしもテツローをオモチャにしたいな」
「ちょっと年増なんだけど、あっし、テツ君のオモチャになってあげてもいいぜ」
「お袋に反抗できず、イジイジしていた自分が情けない。俺は、もう古い哲郎を脱ぎ捨てるんだ!」
「テツロー、いいぞ、いいぞ。でも、お前、もう全部脱いじゃっているじゃないか。ちょっと立って、チンポコ、じっくり見せてみろ。ステフが鑑定してやっから。童貞のチンポコ、見てみたいしさ」
「見たけりゃ、見ろよ。ほら、これが俺の穢れを知らないチンポコじゃあ」
「ハハハ、使ってないチンポコか。さすが綺麗だなあ。突っ張っているけど、生白くてなんだか弱々しい。それに、思ったよりも小さいなあ。キャハハハ」
「ウェ~ン、奈津さ~ん、ステフさんがいじめるぅ」
「ステフ、いい加減にしろ。チンポコは大きければ良いってもんでもない。テツ君、心配するな。チンポコを何千本もしごいてきたプロの鑑定では、標準よりやや大きめだぞ」
「わかったな、ステフさん。いい加減なことを言うな。罰としてお前も脱げぇ。大きいオッパイ、見せてみろ。大きければ良いってもんでもないわい」

ステフ、あっという間に裸になる。哲郎の焦点の定まらないうつろな目の前で乳房を揺する。

「う~ん、やっぱり、大きいオッパイの方がいいか」
「だろう」
「奈津さんも脱げぇ!熟女のオッパイも、見てみたいよう!」
「テツ君、君は酒癖、悪いんだなあ」

「何よ、テツ君ったら、せっかく裸になってやったのに、酔いつぶれているじゃない。レディに対して失礼だろ」
「姉さん、そいつのチンポコ、引っ張って、起こしてやれ」
「もう爆睡しているよ。こりゃ、2階のベッドまでは運べないな。しょうがない、今夜だけは、私のベッドの隣りで休ませてやるか。襲われる心配はないけれど、チッ、物足りないな。優しく抱いて寝てやるわ。チンポコもさすってやるか」

朝、哲郎、目を覚ましてびっくり。裸の哲郎の横で、裸の奈津が大きなイビキをかいてぐっすり寝込んでいる。
「奈津さん、す、すいません。僕、僕、奈津さんを襲ったんですか?」
「ウ~ン、テツ君、起きたのか。昨夜、何もしなかったから、心配するな。君の純潔は守られている」
「・・・・・」
# by tsado19h | 2014-01-01 06:37 | 不良少女エリカ
「テツ君、今日はなんだか暗いわね。何をイジイジしてるの?」
「奈津さん、僕、失恋したんです」
新宿で、藤沢の高校の集まりがあったんだ。そこに、派手な露出過多の服装した、憧れの永瀬さんが来ていてさ。高校時代より、はるかに綺麗で輝いて見えたんだ。で、で、俺、有頂天になってしまい、なんとか二人で話せる機会を作って、勇気を振り絞って告白したんだ。


「永瀬さん、昔からずっとずっと好きでした。僕、まだ予備校生です。結婚はすぐにできるかどうかわかりませんが、結婚を前提として、僕と付き合ってください」
「猪口君、面白くない冗談、言わないでよ」


けらけら笑って相手にもされなかったんだ。俺、失恋したんだ。始めての失恋、泣きたくなっちゃった。
悔しかったから、別れ際に言ってやったんだ。


「さっきの結婚云々は真っ赤な嘘。俺、永瀬さんとやりたくてやりたくてたまらないんだ。高校時代も、いつも永瀬さんの裸を想像してマスターベーションしていたんだぜ」
「あら、そうなの。光栄よ」
「だから、訂正。永瀬さん、俺、あなたとすっごくやりたいっす。お願い。セックスを前提としてつきあってくんさい」
「ハハハハ。前より正直でいいわよ。でも、ごめんなさい。私、今、つきあっている男が3人いて、セックスの方、手一杯で満ち足りているの。君とセックスはできないわ。別の女性、捜して。猪口君、マザコンなんでしょ。お母さんとやったら」
「はい、母にセックス前提でおつきあいできるかどうか、申し込んでみまっしゅ」
「ハハハ、猪口君、冗談も言えるんだ。受験、頑張ってね」

これが、失恋の一部始終。失恋したのに、心はすっきりしたんだ。不思議だなあ。
「僕。見事に失恋したんです」
「馬鹿ね。女子大に入ったばかりの女性に、『結婚を前提にして』はないでしょ。二十歳前後の女の子はね。いろんな男とやりたくて、ウズウズしているものよ。今回は、失恋でもなんでもないわ。テツ君はいろんな女の子とつきあって、いろんなセックスを経験しないと駄目だな。文学を志す男には重要なことよ」
「ですよね」
「性欲は心に閉じ込めちゃ、駄目よ。正直に表に出すようにしなさい」
「そうよ、そうよ。思い切って行動に表さないと、男じゃねえぞ。始めは嫌がっていてもな。女っつう生き物のはな。触られているうちにその気になってきちゃうんだから。どんな真面目そうですました女もな。内部にドロドロしたものが渦巻いているんだぜ。二人っきりになったら、そういう女こそ、エロいんだ。テツロー、お前、かっこつけて、性欲なんかないようなフリすんなよ」





                 ・・・・・・・・★4・・・・・・・・
朝食の後片付けを終えて、ほっと一息入れていた。テツ君がいると、食事の用意も張り合いが出るの。夕食の献立をぼんやり考えていたときよ。
電話が鳴り、無意識に受話器を取っていたわ。

「もしもし、こちら、中野警察署です。猪口哲郎君って、お宅の息子さんですか?」
「はい、息子ではないですけど、うちの親戚の者です」
「そうですか。実はですね。哲郎君、JRの中央線の中で、痴漢をやりましてね。つかまっているんです」
「えっ、も、もうし訳ありません」
「一応、調書はとり終えました。相手の女性の方が、若いし、真面目そうな子だし、可哀そうだから、告訴するかどうか迷っていると言っています。身柄引受人さえいれば、もう帰ることができます。身柄を引き取りに来ていただけませんか?」
「わ、わかりました。すぐにそちらに伺います」


阿佐ヶ谷の家へ向けて、早稲田通りを走るタクシーの中。
テツ君、恥ずかしそうに下を向いたまま一言もしゃべらない。私、テツ君の気持ちを思いやって、家に着くまでは何も聞かないようにしたわ。

「テツ君、なんで痴漢なんて馬鹿なこと、してしまったのよ。私、信じられないわ」
「そうよ。そうよ。女の子に触りたくなったら、私に言えば、お尻でもお乳でもアソコでも、自由に触らせてあげるのに。お馬鹿さんね」
「奈津さんから、性欲を心に閉じ込めないで、思い切り行動するようにって、アドバイス、貰ったような気がして、勇気出してやってみたんです。でも、あんまり楽しくなかったです」
「馬鹿ね。楽しいわけないでしょ。相手の女性が嫌がるような性欲の出し方は、間違っているわよ。それに、痴漢って、犯罪でしょ。犯罪はやっていけないってことくらい、小学生でもわかっていることよね」
「もちろんです。痴漢して捕まったら、罰せられる。承知していました。僕って、ずっといい子でいることを強いられてきたでしょう。その反動なのかな。一度、社会的にあきらかに悪いとされていることをしてみたかったんです。それをすれば母の呪縛から脱することができるような気がしたんです」
「犯罪者の勝手な理屈よね」

「満員電車の中で、身体の前部を押し付けてくる女の人がいて、その人のお尻ならたっぷり触ってもいいんじゃないかと思ったんです。お尻を触っているうちにいっそうムラムラしてきて、パンティーの中に手を入れたいという欲望に、とらわれてしまいました。アダルトDVDのシーンにあったんです。不思議なことに、周囲の情景がすべて消え失せ、今、スカートの下から手を入れて、生のマンコを触らなければ自分を変えられないという天の啓示みたいなものが下りてきたんです。気がついたら夢中でこねくりまわしていました。女性のアソコの手触りって、からみつくようで、吸い付くようで、生温かい妖気すら伝わってきました。手を引き抜くことができなくなり、無心でこねくっていたんです」
「だから、後悔はしていません。実際、警察に捕まっているとき、まずいことになったなという焦る気持ちより、これで母から自由になれるという晴れ晴れとした気持ちの方が強かったんです。人間の行動って自分では制御不能なときがあるんですね。勉強になりました」
「痴漢の動機は母への反抗心ってところ? 警察じゃ、絶対に認めてくれないな。それに、性欲を心に閉じ込めないで、思い切り行動しろなんて、私、言ったかな?」
「姉さん、似たようなこと、言ってたよ。だから、ステフ、行動に移せって、助言した気がする」
「そうか、いずれにせよ、私達がテツ君をたきつけたのよね。配慮足らずで、ごめんな」
「とんでもないです。他人のせいになど、しません」

皿を洗いながら、授乳しているステフと話したの。哲郎は2階の自室にこもりっきりよ。平気を装っていたけど、結構、落ち込んでいるみたい。

「テツ君も過激よね。スカートの下から、手を突っ込んで生マンコをこねくるなんて」
「そうよね。大胆よね。将来性を感じるわ。手がつけられない変質者になる可能性も出てきたんじゃない。それはそれで、面白いわ」
「ステフ! 馬鹿なことを言うんじゃないの!」
「ごめん。昔から変なことを言っては、よく姉さん達に叱られたの」
「それにしても、性欲の強いテツ君をこのまま童貞のままに放置しておいてはいけないわね。今度の痴漢事件で考えちゃったわ」
「そうよね、まっとうな性の歓びを知っていれば、性欲は歪んだ方向には向かわないわよね」
「向学心があるし、勉強の方はしっかりやっているみたいだから、そちらの方は、ほおっておいても大丈夫。けど、上手な性欲処理の道筋をつけてやらないとな。一途なところもあるから、道を踏み外さないとも限らないな。ステフ、どうしようか」
「私、セックス、教えてやってもいいんだけど。テツローとは、雅美を介して、ガチ、親戚なのよね。私、馬鹿じゃないわ。その辺、あんまり乱しちゃ、まずいわよね。後々、面倒なことになるわ。ジイジにも怒られちゃうな。私、最近、身体が火照っちゃって、やりたくてやりたくてたまらないことがあるのよ。でも、セックス・フレンドだったら、後腐れのない相手を街中をうろついて探すつもり。私の力からいって、そんなの難しい事じゃないわ。だから、私はよしておく。テツローの下半身の問題は、奈津さんが面倒みてくれないかな」
「私も、なんだかジイジに悪い気がする。けど、ジイジと結婚しているわけじゃないし、ジイジも向こうで適当にやっているような気がする。ま、いっか。テツ君の家庭教師になってやろうか。本当のところ、童貞の子と一度やってみたいのよ。考えただけでもゾクゾクするわ。ウブな若い子にセックスの醍醐味を教えるのも、すっごく魅力的。経験したことないんだもの」


夕食で階下に降りてきたテツ君。ぼんやりしている。
「テツ君、どうだい、その後も下の方のモヤモヤの嵐、荒れ狂ってる? セックス、やりたい?」
「死ぬほど、やりたいっす」 
「私でよかったら、何時でも教えてあげてよ」
「ワオッ! 奈津さん、僕、僕、童貞、早く捨てたいんです」
「そうかい、そのいらない童貞とやら、あっしが拾ってあげるわ」
「ウオッ! すごい! 奈津さん、あなたの顔が女神に見えてきました」

「テツ君、予備校の授業のない日は、いつ?」
「木曜日です。一日、空いてます」
「んじゃあ、毎週木曜日に、奈津性交塾を開催することにするわ。午前9時から午後3時までね。たっぷり時間をかけた1対1の個人指導よ。色事師の卵くらいになれるまで、徹底的に指導する。厳しいわよ。遊び半分なら止めときな。学ぶ気、ある?」
「もちろんです。奈津さん、色事を仕込んでください。死ぬ気でついていきます。全力を尽くして学びます。予習復習も欠かしません」
「よしや、早速、今週から始めるぞ」
「ステフも、できることがあったら、いつでもお手伝いするわよ」
「ダメッ。先生は二人いらないの。色事の道に迷いが出る」
「教場にこの家のベッドは使いたくないな。ジイジとの汗と粘液の思い出が染み込んでいるもの。ジイジに失礼だわ。それに、ステフや雅美が別室にいると思うと、集中できないものな」
「じゃあ、ホテルを使うんすか。お金、かかりますね」
「いや、駅に行く途中に、ここに移る前、私が暮らしていたアパートがそのままにしてあるんだ。そこを使おう。何の気兼ねもなく、授業に集中できるだろ。今のところ、3ヶ月12回のカリキュラムを考えている。フィールド・ワークも卒業試験もあるからな。研鑽しろよ。ヤル気がなくなったら、塾を閉鎖にするからな」
「はい、わかりました。奈津先生」
「無事に、卒業試験に通ったら、奈津の門下生を名乗っていいからな。踏ん張れよ」
「先生、目標ができました。奈津性交塾の一番弟子になれるように精進します」


私のアパートでマン・ツー・マン授業が始まったの。
この部屋、引き払わなくてよかったわ。まず性交修業の場にふさわしく模様替えしたの。
外光を遮断する厚手のピンクのカーテン。ダブルベッドを中央に据え直し、目に染みるような洗濯仕立ての白のシーツと枕カバーをかけたわ。ベッドサイドのナイトテーブル上にシェード型スタンドを置いて、橙色の柔らかな照明で雰囲気を盛り上げるようにしたわ。壁にテツ君の技術向上を願って「一意専心」の張り紙。私、達筆なのよ。後は、壁沿いに燃えるような赤のカバーをつけたソファーのみ。色事修業に関係のない家具はすべて隣室に片付けたわ。


テツ君、部屋に入って握り拳を固め、気合を入れていたわ。静かにジーンズを下ろすと、股間の膨らみで突っ張った紺色のビキニブリーフ。立て筋の入った筋肉質の腹部がとてもセクシー。凛々しく上気した顔。未知の世界への旅立ちの緊張が伝わってきたわ。ブリーフを脱ぎ捨てると、局所が直立に怒張しているの。たまらなかったわ。
私、熟女の魅力が一際引き立つランジェリー姿にしたの。胸元にリボンのついた濃い紫のロングキャミソール。身体をくねらせて、いやらしく脱ぎ捨てたわ。おいしそうに盛り上がった乳房。黒いTバックショーツからはみ出す形のいいお尻の白い柔らかなお肉。テツ君の生唾呑み込む音が聞こえてきたわ。そそられているのね。
しばらくの間、お互い見詰め合っていたわ。視線がねっとりとからまっていた。
テツ君、焦れて、右手で屹立したブツを握りながら近づいてきたわ。
先生の私、ベッドの脇で艶然とした微笑みを浮かべ待ち受けたの。実を言うと、落ち着いたフリだけ。心臓が跳び出しそうなくらい鼓動していたわ。
ショーツをいやらしく引き下ろし全裸となったわ。股間の茂みが眩しく輝いている筈。
武者震いして突進してくる若者をがっちり受け止める。ひしと抱き合い、長い激しいディープキス。淫らな音が室内に響く。
ボーッとした思考の中で交わす挨拶。

「テツ君、待ってたぞ。頑張れよ」
「はい、先生。とうとうこの日が来ました。全力を尽くします」
今一度、長い長いディープキスと抱擁。二人してベッドに倒れこむ。
お昼に軽い食事を挟みながらも、性交、性交、また性交の一日。

哲郎の童貞喪失の特別授業。
この日ばかりは、先生の私、何の注文もつけずにサービスをする側に徹したわ。テツ君の股間に顔を埋め、身体中に舌をはわせ、テツ君の匂いを鼻腔の奥に記憶させながら、快感を与え続けたの。テツ君は大声を出しながら、人生始めての悦楽を享受していたわ。荒い息遣いと激しい腰の動き。野獣と化した男と女。上になったり下になったり、様々の体位で荒狂い、ベッドをところ狭しと動き廻る。
いつの間にか、私も嬌声を上げて吠えまくっていたの。午後3時、7回果てたところで授業終了。終わって2時間ほど、二人とも死んだように眠り込んだわ。起き上がれなかったの。

「テツ君、よかったぞ。こんなに燃え上がったのは久し振りよ」
「先生、泣きたいです。どんな言葉でも今の気持ちを表せません。先生に出会うことができて、本当に幸せです。こんな素晴らしい時間を共有できて、生きてきたことに感謝です」
「テツ君、今日は特別授業だった。君の童貞をいただくお祝いで、先生は自分の快楽を犠牲にしても君に奉仕した。なのに、途中から先生であることを忘れて性交を楽しんじゃったわ。テツ君はカンがいい。覚えが早い。並々ならぬ素質を感じるぞ。真面目に励めば間違いなく、女泣かせの上質の色事師に変身できるぞ」
「奈津先生。最高でした。感動でした。セックスって、こんなにも豊かで、こんなにも深くて、こんなにも素晴らしいものだったんですね。アダルトビデオなんか、比較にもなりません。何度も失神しそうになりました。性交の悦びって、神様がお与えくださった人生の宝石みたいなものなんですね」
「わかってきたな、テツ君。君は本当に理解が早い。先生はうれしいぞ。今日はお祝いの気持ちから、あっしがほぼ一方的にリードした。でも、次の授業からは、君も快感を与える側に回らなければならない。攻める側は受ける側とまた違った充実感が得られる筈。先生を気が狂わんばかりに歓ばすテクニックを磨いてくれ。いいな」
「はい、頑張ります」
「君が射精して昇天するだけでは『性交』とは言えないのよ。女も悦楽し二人して昇天して、始めて真の『性交』と言えるの。女性に至福の時間を与えるために、君は奉仕する心を培わなければならない。いいな」
「はい、心します。先生、今日で、なんだか母の支配から離脱する自信がつきました。色事の道を突き進み、母の呪いから完全に自由になれるように精進します」


最近、ジイジのお陰で、子を失ったことの悲しみから自由になったような気がするの。それと共に、女って因果よね。新しい子供を作って育てたいという欲求が日に日に大きくなってきたのよね。毎日のように考えちゃうわ。
 子供が欲しい。子供が欲しい。子供が欲しい。

30歳の半ばを過ぎると急速に妊娠するのが難しくなるらしい。ジイジとはずっとコンドームなしでやってきた。なのに妊娠の兆しが全く現れない。ジイジの精液では子を孕めないのかもしれないわ。もう待てない。私、焦り始めていたの。
他の男の子供でも、奈津の子供なら籍に入れて可愛がるから結婚してくれと、ジイジは優しい言葉を言ってくれた。
一度、結婚に失敗しているので、男を見る目が厳しくなっている。セックスをする相手なら、ほどほどに外見のいい男なら誰でもいいわ。でも、子供を作るとなると、全く別よ。しばらくつきあってみないと、本当の人間性がわからないじゃない。そんな時間などないわ。どうしよう。悩みに悩んだわ。
でも、すぐ近くに適任者がいることに気がついたの。テツ君よ。外見も頭も性格も人間性も、すべてが私にとって好ましい。15歳若ければ、喜んでテツ君の恋人になったわ。二人の子なら、ジイジの子供になってもらうにはこの上ないわよね。だって、ジイジと血の繋がりまであるんだもの。こんな最適任者をずっと見逃していたのね。期は熟している。テツ君の子を孕むチャンスなら今はいくらでもあるわ。私、物事を割り切って考える冷徹な女でもあるのよ。時期を逃さないわよ。テツ君の子を孕もう。ジイジも事実を知ったら、私を不道徳だとなじるかもしれない。でも、10年間は固く秘密にする。それ以降は、時の流れにまかせるわ。もう私の不始末なんか時効になってるわよ。さらに、時間がたてば、必ずいい選択だったと感謝するようになるわ。自信がある。


「テツ君、そろそろ生でやりたくない?」
「コンドームをつけないと、どんな感触なのか。どんな風に違うのか、興味津々です。もちろんやってみたいです」
「生はいいぞ。一度、やったら、コンドームをつけたくなくなる。君に経験させたいだけでなく、先生自身が生を強く望んでいるのよ」
「先生、生でやって妊娠しない方法って、ありますか?」
「あるわよ。女性の方が、避妊リングを使うか、ピルを飲めばいいの」
「そうなんですか」
「ピルを飲み始めたから、来週からは生出しでいくわよ」
「ウワッ、ワッ、ワッ、うれしいっす」
「でも、よく知らない、行きずりの女とやるときは、相手を妊娠させないためにも、自分がHIVなどの性病をもらわないためにも、コンドーム装着は必至だからね。いくら気持ちが良くてもこれだけは肝に銘じておけよ。生でどうしてもやりたいときは、ステーディな彼女を作るんだな」
「はい、わっかりました。次は、生だ。生だ。生だ。ヒャッホー!」

今日で、授業9日目。生でやったわ。生はやっぱり感じるわねえ。違うわ。テツ君もいつもより、一段、声が大きくなり、明らかに興奮していたわ。傑作なことに、時々、声が裏返ってさえいたのよ。
もちろん、ピルなど飲んでいない。テツ君には、口が裂けても言わないけど、首尾よく妊娠して子供を産みたいんだもの。いずれ、ジイジと結婚して、ジイジの子として育てると堅く決心しているの。この企みは、ジイジにもステフにも10年は秘密よ。
# by tsado19h | 2014-01-01 06:27 | 不良少女エリカ

テツ君に、色事テクニック、一通り、仕込んできたわ。
女がしてほしいこと。女にやってはいけないこと。この辺は伝えられたと思う。後は、テツ君が実戦を通して、自分なりの性愛術を磨いていけばいいのね。私が妊娠したときがテツ君と別れるとき。性交を止める潮時ね。けじめだけはきっちりとつけるわ。
その代わり、私が妊娠するまで、テツ君とのセックス、獣になって、思いっきり楽しむわ。時間が限られていると、かえって、燃え上がるのよね。素晴らしい思い出を脳裏に刻み込むわ。

テツ君、寝室の外では、女の子の扱い方、全く知らないから、セックスフレンドを作る最初の道筋だけでもつけてやらなくちゃ。本当に世話の焼ける子ね。でも、今は女性にぎこちないけれど、すぐ女タラシなんて言われるようになるわ。私が仕込んだんだもの。一度やった女はテツ君を簡単には手離さないわよ。
ジイジが来月、大学を正式に退官することでしばらく帰国すると連絡してきたわ。それまでに決着つけないとな。決着って、もちろん妊娠することよ。テツ君の精液、濃厚だから、自信はあるわ。


テツ君が阿佐ヶ谷に来てから、2ヶ月ほどたったある日、母親が連れ戻しに来たの。なんだか、げっそりと痩せて顔色も悪かったわ。ちょっと気の毒な気もしたの。
「哲郎、しっかり、お勉強している?」
「はい、休むことなく予備校に通っていますよ」
「どこを受験すると言ってます?」
「そういう話は一切しないので、わかりません」
「ガールフレンドなんかできて、遊び廻っているなんてこと、ありませんよね」
「その辺のことも、察知しかねます。ごめんなさい」

「哲郎、お母さんが悪かった。受験に口を挟まないから、藤沢に戻ってきて。お母さん、お前がいないと、寂しくて、寂しくて。毎日、泣き暮らしているのよ」
「嫌だよ。母さんと離れることができ、やっと自由を謳歌しているのに」
「ちゃんと食べているんだろうね」
「そんな言い草、三度の食事を作ってくれている奈津さんに失礼だろ」

「お前、ちゃんと勉強しているんだろうね」
「母さんの監視がない分、勉強、はかどるよ。予備校では、トップテンを維持している。国立の最難関校の合格ラインに余裕で入っているよ」
「そんな成績、とっているんなら、医学部、もう一度、受験してみないかい?」
「うるさい! いい良い加減にしろ! 父さんからは、お前の未来は、お前が自由に決めろと言われているんだ。医者という職業にとても魅力があるけれど、母さんに言われると、意地でも受験したくなくなる。今のところ、俺は作家か翻訳家になりたいんだ。口出し、すんなよ。何しに来たんだ。話すことなんかない。俺の道は俺が決める」

「お前、変な女友達なんか作って、遊んでいないだろうね。お前、お父さんの血を引いているから女に溺れてしまいそうで、心配なんだ」
「俺、18歳だよ。ガールフレンド、作って、何が悪いんだ。今、週一で、彼女とセックスを楽しんでるよ。セックスすると気分転換ができる。やった後は、勉強がぐいぐい進むんだ」
「悪いことは言わない。受験が終わるまで、女とは手を切りなさい。お父さんみたいなろくでなしになるよ」
「父さん、ろくでなしなんかじゃ、ない! ああいう風に、母さんが追い込んだんだろ」

「うるさいな。もう帰れよ。これ以上、しつこく口出しするなら、俺、大学なんかに行かない。親父の跡を継いでシェフになる。春からシェフの学校に行く」
「お願い。シェフなんかだけには絶対にならないでよ。文学部でいいから、大学に行って」
「そんな言い方、父さんに失礼だろ」

「お父さん、今度の若い女とは本気みたいなの」
「そんな泣き声出すくらいなら、父さんにすがりついて、謝れよ」
「お店から家に全く帰ってこなくなったのよ」
「自業自得だろ。あんな冷たい雰囲気の家、父さんでなくても帰りたくないよ」
「テレビを視るのも、食事をするのも。一人っきりなのよ」
「それで、寂しいから、俺に家に帰れって、言うのか。ふざけんなよ。寂しかったら、母さんも、若い男、作って遊びまくればいいだろ。まだ、女として通用するよ。そのくらいの金は取っているんだろ」

「哲郎、地元の進学名門高校で10番以内だったのよ。そのお前がシェフの学校に行ったら、世間の物笑いの種になるよ」
「笑わせておけば、いいじゃないか。シェフの価値を知らないからそんなことを言うんだ」
「シェフと名乗ってるけど、田舎のレストランの調理師では、誰も尊敬してくれないわよ」
「父さんは皆においしい料理という幸せを配っているんだ。それで十分。尊敬される必要なんかないよ。小さい頃、まだ父さんと母さんの仲が良かった頃、俺が『父さんの跡を継いでシェフになる』と言ったら、母さんも喜んでいたじゃないか。何時から、どうして、父さんを侮蔑し始めたんだ? 家庭内の雰囲気ががらりと変わってしまったのはその頃からだろ」

「スミレはどうしてる?」
「それが、もう、学校には行ってないみたいなんだ。夜遊びしまくりで、家にはほとんど帰ってこない。何をしているか、さっぱりわからないんだよ」
「なんだい、それ。俺に口出しする暇があったら、娘のことをもっと心配してやれよ」
「相変わらず、お父さんべったりで。お父さんとは、頻繁に連絡とっているみたいだから、大丈夫よ」
「それでも、母親かよ」
「そうそう、この前、顔を合わせたとき、お前の行き先を聞いていったから、お前に会えば何かわかると思って、来たところもあるのよ」
「ついでかよ。スミレ、可愛そうに」


うれしい! おめでたよ! 帰り道、ずっと心の中でバンザイを叫んでいたわ。
月経が遅れているから、妊娠検査薬で調べてみたら、陽性反応が出たの。産婦人科に行ってきたところ。期待通り、医者の「おめでたです」という言葉を聞いた瞬間、私、舞い上がちゃったわ。歩きながら感じたの。足が地につかないって、こういう状態だったのね。
こんなに筋書き通りに物事が運んで良いのかしら。怖いわ。何か、大きな落とし穴があるような気もするの。いいわよ。ジイジが真実を知ってグチャグチャ言うようだったら、シングルマザーとして我が子を育てる覚悟はできている。バイバイ、ジイジよ。
ジイジにそんな根性ないだろな。


私のアパートの隣りのビル1階に『heartbreak』というカフェバーがあるの。ここに住んでいた頃の馴染みのお店よ。常連で、時々、手伝ってもいたの。
満足しきったけだるい身体で外に出て、大きく手を伸ばして深呼吸したの。お店の看板が眼に飛び込んできたわ。若い男を次から次と垂らしこんでは食べまくっていたママの顔が思い出されたわ。これもテツ君を堪能した後だったからなのかなあ。
「テツ君、冷たい物、飲みたいわ」
テツ君を引き連れて久しぶりに入店したの。
「あらあ、ナッちゃん、久しぶりね。隣りの若い子、誰? ハンサムね。若いツバメ? 羨ましいわ」
「とんでもない。私の塾の生徒さんよ。テツ君、ご挨拶して」
「始めまして。テツローと申します。奈津先生の指導の下で、日々、色の調合、配色のバランスなどの基本を学んでおります。先生の指導は厳しいので、今日も、うまく口が利けないくらいぐったりです。何か食べたいです。たっぷりとにんにくの効いたステーキなどあります?」
「そんなにお腹がすくくらい、レッスンに集中していたの?」
「はい、手抜きをすると、奈津先生に引っぱたかれるんです」
「ナッちゃん、人に教えるような色関係の特技あったのね。人って、知ってるようで、知らないものなのね」
「ところで、ママ、その後、お元気? 相変わらず、男出入りはご発展なの?」
「それがね。私、老け込んだ? 最近は、必ず落とそうと目星をつけた男に振られてばっかりなの。とうとう年貢の納め時みたい。このお店、閉めることにしたわ。定年退職した旦那の田舎に一緒に帰ることにしたの。これからは、のんびりと農作業でもして、主人の年金で余生を過ごすつもりよ」
「若い男なしで、やってけるの?」
「それが一番心配なの。とりあえずは我慢してみる。それに、実は、私、糖尿、再発して、男どころじゃないのよ」
「あら、大変。もう、飲む打つ買うはだめよ」
「100パーセントの方向転換するつもり。今までは好き勝手して旦那をないがしろにしてきたけど、これからは旦那を立てる貞淑な女を演じるわ」
「ママにそんなことできるの?」
「できるわよ。70歳を過ぎた旦那を立てるのに、お薬が必需品なんだけどね。無理やり立てたものも使い勝手は同じよ。旦那のものを最大限堪能する。体力的にその辺で十分みたい。もう私は現役引退よ」
「ご愁傷様です。若い男、殺しまくったんだから、思い残すことはないでしょ」
「それでねえ。まだこのお店、賃貸契約期間、10ヶ月以上、残っているの。雇われママ、やってくれないかな。家賃の月8万円を払って、私の方に月5万ほど入れてくれれば、お店を自由に変えていいから。テーブルなどの備品はすべて置いていく。今、お金、少しでも欲しいんだ」
「ラッキー。私、飲食のできるカウンターバーを探していたところなの。その話、乗ろうかな。相棒と相談して、また来るわ」
# by tsado19h | 2014-01-01 06:17 | 不良少女エリカ
「あら、大変。もう、飲む打つ買うはだめよ」
「100パーセントの方向転換するつもり。今までは好き勝手して旦那をないがしろにしてきたけど、これからは旦那を立てる貞淑な女を演じるわ」
「ママにそんなことできるの?」
「できるわよ。70歳を過ぎた旦那を立てるのに、お薬が必需品なんだけどね。無理やり立てたものも使い勝手は同じよ。旦那のものを最大限堪能する。体力的にその辺で十分みたい。もう私は現役引退よ」
「ご愁傷様です。若い男、殺しまくったんだから、思い残すことはないでしょ」
「それでねえ。まだこのお店、賃貸契約期間、10ヶ月以上、残っているの。雇われママ、やってくれないかな。家賃の月8万円を払って、私の方に月5万ほど入れてくれれば、お店を自由に変えていいから。テーブルなどの備品はすべて置いていく。今、お金、少しでも欲しいんだ」
「ラッキー。私、飲食のできるカウンターバーを探していたところなの。その話、乗ろうかな。相棒と相談して、また来るわ」





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街で女の子を軟派するにあたって、外見を変えるんだって。俺の良さを損なわない程度にイケメン風に改造するんだってさ。奈津さんもおせっかいだよなあ。俺は、今の俺で女の子を軟派してみたいのにな。
「駄目よ。始めが肝心なの。最初の段階で、うまくいけば、女の子に対する自信が違ってくるの。その後の展開に大きな差が出てくるわ。悪いことは言わない。私の言う通りしなさい」
「そんなものかなあ」
俺。しぶしぶ、承知したさ。今のところ、奈津さんには反抗することなんかできないものな。
奈津さん、ジイジが帰ってくる前に、俺とのセックス、きっぱり止めるんだってさ。二人は会えば最高の盛り上がりと充実の時間を味わっているというのにさ。俺、嫌だよ。未練がましいけど、奈津さんとのパラダイス・タイムは今の俺の生きがいになっているんだ。なのに、あきらめなければならないなんてひどいよ、ひどいよ。
奈津さんは元々おじさんの女なんだよな。おじさんへの仁義から言って、おじさんに返すのが当然だよな。
俺も恩を仇で返すような恥知らずじゃない。それにしても、おじさんのお古でもお下がりでも少しも構わない。奈津さんの熟れた身体を手放すのはつらいなあ。

「今が、新しい地平に飛び立つ好機なの。私との逢瀬よりも、何倍も素晴らしい逢瀬が待ち受けているのよ。過去を捨てなければ、未来はやってこないの。元気出せ、テツ君!」
奈津さん。後腐れなく別れるために、軟派の仕方だけは伝えておくんだってさ。
「テツ君、君の風貌、野暮ったいんだよな。服装もなんだか田舎臭い。湘南ボーイじゃなく、藤沢って、感じ。もっとセンスの良い格好に変えようよ」
「奈津さん、俺、そちらの方面、全く弱いんです。ステフさんに手伝ってもらおうかな」
「だめ! それだけは、絶対にだめ。あいつの好みで服を選ばせると、とんでもない格好になる可能性が大きいぞ。危険きわまりない賭けだ。喜劇の主人公になりたいなら別だけどな。大抵の女の子がひくようなキザ男に仕上げられると思うな」
「じゃあ、奈津さん、手伝ってください」
「私も、ファッション系は駄目なんだよな。自分でもどうしてこんなにセンスがないのか、嫌になっているんだから」
「じゃあ、どうすれば。いいんですか?」
「それでね。手はちゃんと打ってあるのよ。私の行きつけの美容室のインターンの子の一人が美人でスタイルがよくて、ファッション・センスが抜群なんだ。女の私が見てもそう感じてしまうんだ。その子に相談した。家にいる予備校生、素材はまあまあなんだけど、野暮ったくて、ダサくて、女の子に、全然もてないんだ」
「奈津さん、僕、予備校にきている女の子に結構人気あるんだけどなあ」
「話の行きがかり上、そうしておくの。相手の興味を引きつけるためにはその方がいいだろ」
「・・・・・」
「そいつの服装、髪型、今風のものに変えてもらえないだろうかって頼んだら、乗ってきてくれたのよう。ただしっかりしていてね。ファッション・アドバイサー料として、その子の服も1枚買わなければならないんだけどね」
「ダサ予備校生の改造計画かよ。なんだかプライドがひどく傷つくなあ」
「物事を大きく変えるには、痛みが伴うものなの。我慢せい」
「奈津さんも、よく言うよ」
「で、甘く考えるなよ。物事には裏があるんだ。その子が乗ってきたんだから、真摯に教えを聞き入れるんだ。その過程で、その子の心をつかみ、今度はテツ君がその子に乗るんだ。いいな。その子自身を軟派対象第1号に指名する。第1次卒業試験だ」
「俺をイケメン風に仕上げた本人を軟派するってことですか。つまり、ミイラ取りをミイラにするってことですね」
「そういうこと。食らいつきたくなるいい女だぞ。陥落させるのは、はっきり言って難しい。どうだ。やる気、出たか? 尻尾を巻いて逃げ出すか?」
「やってやろうじゃないか。俺を見損なうな」

その子、その子って、奈津さんがうるさいから、園子っていう古臭い名前の女の子かと思ったら、そうじゃ、なかった。サオリという名だった。21歳のピチピチギャル。その上、切れ長の眼が色っぽい純日本的な美人で、柳腰の長身なのだそうだ。

「奈津さん、俺、服を買う金なんか、ほとんど、ないんですけど」
「心配すんな。予備校生だから、金はないからね。なるべく安く仕上げてって、頼んでおいた。乗りかかった舟よね。資金、20万、奈津がしばらく貸しといてあげる」
「奈津さん、サンキュウです。親父に泣きついて、すぐに返済します」


サオリさん、試験の対象でなくても、普通に喰らいつきたくなるような、いい女だった。最初、出会ったときは、正直、怖気づいた。こんな素敵な子、陥せるかどうか、全く自信がなかった。

ファッション改造の日は、美容室が休みの火曜日。
午前11時半、南阿佐ヶ谷商店街の上島珈琲店で待ち合わせる。
待たせては失礼と、20分早くお店に到着すると、ハデハデの化粧に、胸元の大きく開いたキャミソールワンピースの女の子が足を組んで既に座っている。身体を動かす度に胸の谷間がチラチラ。たまらない。思わず息を飲む。
BGMにジャズピアノの流れる、しっとりと落ち着いた雰囲気のお店にそぐわない。サオリさんと判断。
「テツローです。サオリさんですよね」
「そうよ。どうぞ、お座りになって」
黒糖のミルクコーヒーで、スモークサーモンサンドをほお張っている。食べる口の動きが色っぽい。それだけでムラムラする。先が思いやられる。
気持ちを悟られまいとして、あわてて厚切りベーコンのクラブハウスサンドセットを注文。

「もっと野暮ったい、いけすかない、にきび面の男がくるかと思ったのに、予想が覆されたわ。イケメンの改造なんて、必要ないじゃない」
「いえ、女の子に全く振り向いてもらえないんです」
相変わらず、口をモグモグさせて、じっと見つめてくる。ああ、ああ、ああ。その口で、しゃぶられたい。駄目だ。今日は一日きついぞ。

「背が高いのね。私と並ぶとちょうどいいバランスよ。今日はなんだかデートみたいで浮き浮きしてきたわ」
「今日は、洋服と靴とカバンを選ぶわよ。さっさっとすましちゃおうと思っていたのに、なんだかやる気がムンムン湧いてきちゃったな」
「サオリさん、光栄です」
「君、どこで、洋服買っていたの?」
「田舎の藤沢です。母が見繕ったものを、あまり考えることなく着ていました」
「それって、最悪よね。自分で選ばないとファションに対する眼が育たないわ」
「サオリ先生、ご指導のほど、よろしくお願い致します」
「テツロー君はなかなか礼儀正しいのね。お手伝いはするけど、最後に選ぶのは君だからね」
「はい。わかりました」
「今日は、無難なところを選ぼう。吉祥寺のユニクロあたりにしようか。ベーシックなものを選ぶならここで十分。量販店で値段も安いし」
「洋服のお店、よくわからないんです。お任せします」
俄然、ヤル気が出てきていた。母のお仕着せファッションからの脱皮。これが母親脱却、母親切捨ての第一歩なんだ。どうして、こんな分かり易いところに、今まで気がつかなかったんだろう? 俺もヤル気ムンムン。今日は意味のある一日になるぞ。

朝夕がぐっと冷え込んできた10月。晩秋から冬を念頭において選択。予算は限られている。サオリさんの指差すものの中から、まずはアウターにキャメル色の中綿ブルゾン、今までの俺なら着ることをためらった、くずれたテイストのものを選ぶ。
「コーディネートがその人のセンスの見せどころなのよ。安いものを何倍にも輝かせることができるんだから。これに失敗すると、どんな高いものを着てもダサオ君になってしまう」

先生の服に対する情熱が伝わってきたのか、次第にのめり込んでいく。教えに従って、コーディネートというものを意識して、一つずつ選んでいく。身につけるものの選択でこんなに熱くなれるとは思わなかった。
濃いグリーンのスリムなカーゴパンツ。黒と白の七分袖のUネックTシャツ2枚。黒のキャンバス地のハイカットブーツ。最後にダークブラウンのショルダーバッグ。

ここまでたどりつくのに、サオリさんの可愛い顔を見ながら、ちょっとした言い合いまでしていた。サオリさんの淫らな下唇を見る度にキスをしたい衝動にとらわれながら、ああでもないこうでもないと議論していく。ファッションの極意を少しだけ掴んだ気になる。今日は、本当に意味のある一日だ。

「ブランドものの高い服がオシャレな服じゃないわ。安い服がイケテナイ服でもない。自分の個性に合った服をチョイスして自分流に着こなせばいいのよ」
「冬でもインナーに薄着している男の子の方が、私、性欲を感じてちゃうな。やりたくなっちゃうな」
「日頃から女の子の眼を意識しろよ。最優先すべきは自分をセクシーに見せることをなんだ」
「イケテル男はシンプルの中にさりげないオシャレを散らすものなのよ」
「君はスタイルがいいから何を着ても似合っちゃうわ。私のお仲間ね。ウフフ」


二人でファッション論議を戦わして、お店、お店を歩き回って品定めをしながら選びまわっていたら、あっという間に日が傾きかけていた。
今まで使ったことのない神経を働かせて、ぐったり。
「ねえねえねえ、お腹。空いちゃった。お金、余りないし、ラーメンでも食べようよ。この近くにおいしいお店があるんだ」

フウフウ、息を吐きかけながら、男の子みたいに音を立てておいしそうにほお張るサオリさん。やっぱり色っぽい。ラーメンも本望だろうな。下半身がうずき出す。

「ねえねえねえ、テツロー君、お腹の方は満足したんだけど、そのすぐ下にある器官の方が欲求し出しているの。今、君をいただきたい気分。どう、この裏の通りに安い連れ込みホテルがあるんだけど・・・」
もてる女は、まわりくどいことなんか言わない。俺とセックスしたいんだ。恥ずかしがることもなく開けっぴろげに持ちかけてくるサオリさん。やっぱり素敵だ。俺、ファッションだけでなく、セックスに対するセンスも学んじゃった。

「僕もサオリさんを、いただきたいです。チンポコの周り、もうパンパンです」
「じゃあ、決まりだね。2時間くらい、楽しんでいこう!」
「はい、お供します」

サオリさん、水色のショーツを脱ぎ捨てる。乳房のはみ出した小さめのブラを外す。乳首がピーンと立っている。美しい。女性の乳房って、本当に美しい。本能的に吸い付きしゃぶっている。俺のビーンの方は既に発射寸前。ぐっと我慢して、サオリさんを押し倒す。
さすが21歳。サオリさんの肌はツルツルして張りが違う。奈津さんの肌はしっとりと吸い付くような感触。言っておくけど、どちらが優れているっていうような軽薄な次元で判断すべき事柄じゃないぞ。身体のさばきに情緒に欠ける面はあるが、とにかく、激しい。忙しい。俺の修行したテクニックを行使する前に、どんどん先に進んでいく。ついていくのが精一杯だった。でも、短い予定時間の中で、3発発射。満足は満足。でも、何か物足りない。俺って、奈津さんのペースに慣らされているのかな。でも、今日は、本当に本当に意味のある一日だった。若さの瑞々しさと性急さを味わうことができたんだから。

「テツロー君、君、若い割には、セックスに慣れてる感じがするな。サオリ、すっごく満足しちゃった」
「サオリさん、俺。もっと長い時間かけてセックス楽しみたかったです」

翌日、サオリさんの勤める美容室に俺は座っていた。このお店、男のヘアーメイクにも力を入れているそうだ。
ヘアスタイルのカタログを見せられ、迷っていると、サオリさんがやってきて、耳周りがすっきりしたデコ出しのクールカットを指差す。昨夜のことなど、忘れているかのように取り澄ました顔をしている。
「テツロー君、これがいいわよ」
ハスキーなサオリさんの声に、下半身がうずき出す。
「そうですね。サオリさん、俺もこの辺がいいかなあと思っていました」

サオリさんの先輩の男性美容師さんが担当する。あきらかにゲイの匂いが漂っている。
「なんだ。サオリのお友達だったのね」
「そうよ、チーフ。しっかりハントして、お店にお連れしてきたのよ。イケメンに仕上げてくださいよ」
「サオリ、この子、私のタイプなんだけど」
「駄目よ、チーフ。いくら頑張っても。この子、ノンケだから」
髪を洗ってもらっているとき、昨夜、慣れ親しんだサオリさんの匂いが鼻腔をくすぐる。閉じた眼の奥でサオリさんの裸体がちらつく。下半身が熱くなる。ここじゃ、まずい。顔が赤くなる。
「嫌だあ。この子ったら、張ってるわよ。顔が赤いわ。私に気があるのかしら」


「テツロー君、君とデートして、セックスするのは、最高に楽しいんだけど、私、お金のない年下男と付き合う気はさらさらないからね」
 本当のところ、サオリさんを彼女にしたかった。彼女の裸身に、彼女の気性に、惹かれていたんだ。でも、あっさり振られてしまったたわけだ。
人生、思い通りには進まないものだ。思い知ったさ。

「どうしても、私とやりたいなら、2万円、作って連絡して。私、君となら喜んでヤルわ。昨日は、欲しかったブラウス1枚、買っていただいたからヤッタと納得しているのよ。覚えといて。私、今のところ、タダでは寝ない女を通しているから。それが私のポリシー」
「・・・・・」
「えげつない女と思ってるでしょ。わかっているわ。でも、私、自分のお店、どうしても持ちたいの。女の旬は短いから、稼げるときは稼がないとね」

「ハハハ、テツ君、あっさり振られたわけだ。でも、ヤルことはヤッタんだから、卒業試験の方は、ギリ、及第にするわ」
「結果的に生でやれる彼女にはできなかったけれど、とてもいい経験になりました。世の中にはいろいろな考え方、生き方をする女性がいるんですね。今まで出会ったことのないタイプの女性でした。とにかく、いい女でした」
「女は深いんだ。まずは数をこなすんだな」
「世の中の常識に反抗して突っ張って生きる女性。それはそれで魅力的でした」
「ステフ、彼女の生き方、共感するなあ」
「奈津も好きだよ」

「テツ君の弱点は真面目すぎることよ。いい加減さを身につけることも必要なんじゃないかな。のんびりはできないぞ。さあ、次のフィールドワークが待っている」
# by tsado19h | 2014-01-01 06:07 | 不良少女エリカ